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戦争法廃止をめざす東大有志の会のブログです

菅政権の日本学術会議への人事介入に抗議し、任命拒否撤回を求める声明

菅政権の日本学術会議への人事介入に抗議し、任命拒否撤回を求める声明

2020年10月5日

戦争法廃止をめざす東大有志の会

菅政権は日本学術会議新会員候補者105名のうち6名について任命を拒否しました。会員選考の基準について日本学術会議法17条は「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考」と規定しており、首相が優れた研究又は業績を判断することは困難です。かつ任命拒否された6名には過去に政府が推進した安全保障関連法や特定秘密保護法などに反対した研究者が含まれており、政府による恣意的な人事介入と言わざるを得ません。これは日本学術会議法の趣旨に反し、学問の自由を脅かす重大な憲法違反であり断じて許されるものではありません。

私たちは菅政権に対し、不当な人事介入に抗議するとともに任命拒否の撤回を要求します。

日本学術会議先の大戦において、学者・研究者が731部隊での人体実験等の軍事研究など戦争に協力したことの反省の上に、時の政権とは独立した組織として設立されました。

1983年日本学術会議法が改正され、会員選出方法を選挙制から学術団体からの推薦性に変更した上で首相による任命が導入されました。この時、野党からの「政府からの独立性が失われるのでは」との指摘に対して1983年5月12日の参院・文教委員会において、中曽根康弘首相(当時)は「学会やらあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません。」と答弁しています。また改正法案の内容を説明した高岡完治内閣官房参事官も「法案の第七条第二項の規定に基づきまして内閣総理大臣が形式的な任命行為を行うということになる」とし、「この点につきましては内閣法制局におきまして法律案の審査におきまして「十分その点は詰めたところでございます」と説明しています。こうした経緯からも首相の任命権は形式的なものであり、任命拒否はできません。

これらの事実にもかかわらず、東京新聞(朝刊2020.10.3)が報じた現政府の対応は以下のようなものでした。「加藤勝信官房長官は2日の記者会見で、首相の任命権を定めた日本学術会議法について2018年に内閣府内閣法制局が協議し『解釈を確認した』と明らかにした。」「当時は官房長官だった菅義偉首相は『今回の解釈変更のような人事制度にかかわる事柄は、必ずしも周知の必要はないと考えている』と話していた。…(中略)学術会議は17年3月、防衛省の軍事応用可能な基礎研究への助成制度を批判する声明を公表。法解釈の確認はこの翌年にあたる。」

このような重大な解釈変更を国民に知られないように正当な手続きもせずこそこそと行ったこと自体、政権の後ろめたさを示しています。日本学術会議は「学問の自由の防波堤」(石川健治東大教授)であり、私たちは菅政権に対し、日本学術会議の設立趣旨に反する解釈変更の即時撤回を要求します。

日本学術会議法.png