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軍事的合理性にこだわる首相の誕生 ーー「最短」総選挙の後に   水島朝穂平和憲法のメッセージ

◉軍事的合理性にこだわる首相の誕生 ーー「最短」総選挙の後に 
 水島朝穂平和憲法のメッセージ 2024年10月7日
<一部抜粋>
石破茂の本質――「軍事的合理性」の突出
 私は石破について、20年前から一貫している点として、「軍事的合理性をとことん突き詰める政治家」であることを指摘したい。いま、「石破首相」が誕生したことで、この国に初めて、「制服を着た市民」ではなく、「軍服を着た政治家」ならぬ、「軍事思考の首相」が誕生したということである。「軍事オタク」という言葉は不正確である。
 
憲法9条2項削除の本格改憲
 10年ぶりに直言「年のはじめに武器の話(その1)」でこう指摘した。「普通の軍隊化」を推進する上では、制服組との距離が近い石破茂氏の役割が大きい」と。政治と制服組との結びつきが強まる一方で、防衛省内局(背広組)の権限は、石破氏が防衛庁長官の時代から歳月をかけて弱められてきた。「文官スタッフ優位制度」という日本型シビリアンコントロールは崩壊に向かった。
  安倍政権下の安保関連法制定と合わせて、防衛省設置法12条の改正も行われた。これによって、日本型シビリアンコントロールの仕組みは実質的に崩壊したといっていいだろう。
 自衛隊にも「政治的軍人」が育ち、「防衛プレッシャーグループ」として政治家に影響力を行使し始めている(直言「「軍」の自己主張」)。石破は「普通の政治家」をつなぐ媒介的な位置にいるといえる。
 
石破内閣は、中谷元防衛大臣岩屋毅外相、小野寺五典政調会長と4人もの防衛大臣経験者が党と内閣の枢要な地位にあり(防衛副大臣は続投)、かつ首相秘書官の筆頭に旧知の防衛官僚をつけ、現職の防衛大臣と統幕長が改憲案起草に関わったことがあるなど、これは本格的な安保・改憲内閣ということになろう。なお、若き日の吉田統幕長が起草した改憲案には、軍隊の設置と権限が明記され、集団的自衛権行使の明文の規定もあった。安倍が試みた「自衛隊9条加憲」のような小手先改憲ではなく、9条2項を削除して自衛隊を軍隊(国防軍)とする正面からの改憲を狙う。ただ、先日の所信表明演説ではきわめて抑制的にしか改憲に触れていない。この内閣の党内基盤の弱さもあり、すべては総選挙の結果次第である(来年7月の参院選も69年ぶりの重要選挙となる)。